天真寺通信
これからの寺院像
今朝の朝日新聞にて「『お墓なんていらないと思ってた』弔い、慣習ではなく自らで」という記事が掲載されておりました。
直葬・散骨・樹木葬など葬儀・納骨の形が多様になっているいま、かつては地域社会などの共同体と宗教行事と重なっていたが、共同体が崩れてきて、宗教行事の意味が見いだせなくなった。その結果、悲しみを分かち合う場がなくなり、模索中でありますという記事が掲載されておりました。
日本社会のおける社会機能の分業化が進み、教育は学校、福祉は専門家、「宗教は死後の救いという「私事化」に安住してしまいました」。その中で、これまで浄土真宗の僧侶側としては、浄土真宗の葬儀を通して亡き人との別れの悲しみ、み教えを通して死を乗り越えていく道をフォーカスするのではなく、葬儀の形式はこうでなければならないと先鋭化されたところにて議論をしておりました。その結果、弔いの時だけなら、必要ないと考える人も増えてきました。
そんな中、社会の中での本来のお寺のあり方を見直して、葬儀・法事など檀家中心の弔いから地域社会のコミュニティー中心の寺院のあり方(カフェ・子ども食堂)へと変遷してきました。さらに、現在は団塊の世代の過程が安定しているが、今後は少子化、子どもがいない、身寄りがない人が増えてきて、お墓・お寺のあり方も変わっていくと予想されております。
と、島薗進先生の記事が寄稿されておりました。
そして、昨年11月築地本願寺境内に作られた合葬墓、「家ではなく個による会員組織「築地倶楽部」」の紹介がされておりました。こちらも、背景にあるのは「家意識の崩壊」であります。そして、若者には、オウム以降宗教を排除してきた背景があるので、宗教的活動が新鮮に映ります。「人はなにのために生まれ、何のために死ぬのか。なぜ人を好きになり、別れるのか。合理的な答えは出ません。宗教は、その人の人生観を支え、新しい生き方の道しるべを提供します。若者の心に刺さります。寺とご縁を結ぶきっかけを作りたい」と安永宗務長は語ります。そのための活動が「『寺と』プロジェクト」です。銀座に「築地本願寺GINZAサロン」を開き、会員組織を設け、合同墓を始め、葬儀社や相続遺言の専門家を紹介するサービスを始めました。生前の安心、エンディングステージの宗教的な安心感を届けるのがコンセプトです。
築地本願寺が、計画を立てて動いてきたプランの全貌がつながりだしました。お寺と言えば、法事・葬儀だけではなく、社会のお悩みにお寺がコミットしていくプランであります。
これからが楽しみであります。
[墓なんていらないと思ってた」弔い、慣習でなく自らで 朝日新聞2018.2.25]
https://www.asahi.com/articles/ASL2Q67H3L2QULZU00S.html
[朝食が超充実、「築地本願寺」がスゴいことになっていた MONEY PLUS 2017.11.17]
[僧侶になった開成・慶応卒コンサル社長のOB人脈術 DIAMOND ONLINE2016.11.19]
http://diamond.jp/articles/-/108632
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