天真寺通信
末那識(自我執着心)
先日、町田市にあります高源寺様の報恩講法要にご縁を頂戴すると、お寺の目の前に新しく公衆電話が設置されておりました。
公衆電話新設の理由をお伺いしますと、市町村が防災対策などから設置していること。公衆電話は懐かしいなぁと、私たちは公衆電話世代。偽造テレフォンカードが出回った時期もありましたし、記念品としてテレフォンカードを頂戴することも。こちら収集したテレフォンカード、高校の卒業記念としてもテレフォンカードを頂戴しました。
しかし、現代の成長したころにすでに携帯電話を使用していた20代の若者は、公衆電話の使用法を知らないそうです。子どもに10円玉を入れて電話をするのだと教えたら、料金受口に10円玉がたまっていた。受話器を上げることを知らなかったといいます。私たちにてあたりまえであったことが、時代が変われば、若者には通用しないようです。
その帰り道、高速道路四つ木インターをおりて、停車をしていると、日本国旗を持った外国の青年が前の車の運転手と話をしております。そして、私の車の所に来たので、ヒッチハイクかなぁと話を聞いてみると、「私は話ができません。この国旗を買って500円寄付して下さい。私が観光をするために使わせて頂きます」というような内容の紙と日本国旗を渡して、後ろの車へと向かっていきました。その青年は、また一番前の車にて話をして、私の車の所に来ました。お財布に入っていた数百円を手渡すと、「お金が足りないよ」という表情をされました。そして、国旗を返して、お金だけ寄付して車を走らせました。その青年にお金を渡した瞬間、お金を払う人、もらう人という関係性ができあがってしまっていたのです。仏教の唯識という学問には、人間の深層心理に末那識(自我執着心)の存在、ついつい物事を自分中心に見てしまう心を教えてくれます。知らず知らずうちに末那識が絶賛活動中なんだなぁと実感しました。
日曜礼拝では、天親菩薩を讃えるご和讃でしたので、末那識のお話しさせて頂きました。人間の心の在り方を緻密にみつめた天親菩薩が『浄土論』にて、「世尊我一心 帰命尽十方 無礙光如来 願生安楽国」とお示しくださったことを有り難く感じる出来事でした。
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