天真寺通信
熊にまつわる仏法の話
2025年を象徴する言葉として「熊」が選ばれました。
2025年を象徴する漢字
1位「熊」
2位「米」
3位「高」
4位「脈」
5位「万」
1位「熊」2万3346票、2位「米」2万3166票、なんと約200票の僅差だったそうです。
そこで熊にまつわる話はないかと調べてみました。
チャッピー法話「山門の熊」
ある山寺の近くで、熊の目撃が続きました。村人は怯え、「熊を追い払ってくれ」と寺に訴えます。
住職は言いました。
「まず、熊が“悪い”と決めつける前に、何が起きているかを見よう。」
住職は若い僧と一緒に山へ入り、足跡や荒れた枝、食べ残しを確かめました。すると、熊が出てくるのは決まって、川沿いの木の実が落ちる頃。さらに、村の畑には収穫し忘れた作物や生ゴミが残っていました。
住職は村人にこう言います。
「熊は“熊の都合”で動いている。私たちは“人の都合”で暮らしている。
都合と都合がぶつかっているだけだ。縁(条件)がそろえば、そうなる。」
村では、畑の片づけとゴミの管理を徹底し、見回りの道を変え、夜は鈴と灯りを用意しました。寺も、山門に食べ物を置かないようにし、参拝者に注意を促しました。
しばらくして熊は姿を見せなくなりました。
すると村人が言いました。
「住職さん、結局、熊を追い払ったのですね。」
住職は首を振り、
「追い払ったのではない。“争いの条件”を減らしたのだよ。
怒りで熊を憎めば、心は熊より荒れる。
恐れで目を閉じれば、備えが遅れる。
慈悲だけで近づけば、命が危うい。
だから仏道は、慈悲と智慧の両足で歩く。」
最後に住職はこう結びました。
「熊に出会ったら、合掌して近づくのではなく、距離をとって去りなさい。
それもまた“不殺生”を守る道。
相手を傷つけず、自分も傷つかず、みんなが生きる道を探す。
それが仏法の実践だよ。」
と、創作法話を頂戴しました。仏典には熊が搭乗する話はあまりないようです。
先月、長野県にて地元の方と話をして、私が「熊怖いですね」と話したら、「熊はそこのブランコで遊んでいる」と言われた言葉を思い出しました。
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