天真寺通信
今月のあんのん堂 ~ただ念仏~
毎月第2土曜日は、京都大谷にある「永代合葬墓あんのん堂」の合同参拝日です。
お彼岸も近づき春めいた空気の中、朝から雨が降っていました。
「一雨ごとの暖かさ」ですね(*´▽`*)
白洲ではお彼岸の準備でしょうか、テントが張られていました。
さてさて、今月の掲示板は
「死んで往ける道は そのまま 生きてゆく道です」
東(ひがし) 昇さんの言葉です。
東さんは、京都大学名誉教授(元京都大学ウィルス研究所所長)、国産第一号電子顕微鏡完成者、がん治療に新天地を拓くウィルス発見者、国際電子顕微鏡学会連合の総裁をつとめるなど世界的にご活躍された自然科学研究者であるとともに、まことの念仏者でした。
私の手元には縁あって、東さんの生涯を綴ったDVDがあります。
それによると、東さんは大正元年 鹿児島川辺村でお生まれになりました。この地方は念仏禁制の地で、念仏したものは捕えられ打ち首にされるなどの弾圧が明治9年まで続きました。そんな中お念仏は受け継がれ、東さんのご両親は熱心なお念仏者だったそうです。
東さんは成績優秀だったため将校兵への進路が決められて、ご自身も将校を夢見て勉学に励まれましたが、耳の具合が悪く断念されました。失望された東さんは、救いをもとめて哲学書や宗教書を片っ端から読みふけっても心の闇は晴れなかったといいます。
そんな日々が続く中、『歎異抄』と「よき師」に出あわれました。
東さんの科学研究はどんどん成果をあげられ講演に出かけられますが、「科学万能主義」への警鐘を鳴らし、「人間が豊かに生きて真のしあわせをいただくとは、死の問題が解決される事、それは科学では解決されない、まことのこころはお念仏のこころである、私はお念仏をこころの支えとしている」と提唱し続けられました。
昭和8年、東さんは病に倒れ九死に一生を得られます。その時の東さんの言葉です。
~「私の生の総決算は何であったか」と自身に問い、結論を一言で申しますと、「私の生の総決算は ただ念仏である」~
その後には
~あなたは自然科学者ですが、それで良いのですか?という方がいたとしても、私は自然科学者である前に一人の人間です。私自身の死と対面した時、人間の得たものは全て消えてしまいます。人間の力で得たものは全て消えてしまいます。価値ありとされたものは、無価値無力化されます。力となるのは ただ念仏だけです」~
昭和57年にご往生された東さんのお葬儀での表白に
「東さんは科学的真理の探究者であり、宗教的真実の生活者でありました」と読まれたそうです。
「私の生の総決算はただ念仏である」と言い切られた東さん。そう言わしめるお念仏・・・・・ナマンダブ ナマンダブ・・・
(果)
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