天真寺通信
『上を向いて歩こう』の誕生秘話
永六輔さんの言葉を改めて、尋ねてみます。
平成24年55月25日(金)放送【僕らの音楽】永六輔×ナオト・インティライミにて放映された時のこと。
「上を向いて歩こう」の誕生秘話。
『中村八大さんはジャズのピアニストでアドリブの名手。学校の先輩、あるとき、永くんちょっと来い!八大さんが、ピアノを弾き始める。今日は歩く歌を作りたいと。テンポを決めて、これちょっとセンチメンタルな寂しい気持ちで歩きたい。だからそういう言葉を入れてくれ。』という形で「上を向いて歩こう」が生まれた。だから、自然な歌になっていく。
永さんが若者へのメッセージ。
「加藤登紀子さんと話をしていて、何が一番この歌詞の中で言いたいのかという話になった。最初の歌詞では、「こういう訳で会いたい」「どういうとこで会いたい」「星空の下で会いたい」と会いたい理由がいっぱいあるのを、これ余計、これ余計、これ余計、っていったら「会いたい」だけ残った。会いたい。会いたい。会いたいだけ。それはすごかったの。また、歌詞っていらないんだ。伝える想いが大事なんで、それを歌詞が飾ったり、説明したりすることがあるけど、できれば、それ無しにして、どれだけ歌うことで補っていく。っていうことに、時々帰って欲しい。
『粹』(いき)という字は、「米辺に卒業の卒」と書く。「米が終わる」とは、米は、籾の中に入っていて、籾殻を取って、それが玄米になる。その玄米をまた精米して、芯だけ残るように全部外して、それが大吟醸のお酒になる。ホントに無駄を削って削って削って削って、最後に残った米らしい米のことを『粹』という。最近はの歌は、「言いたいことぜ~んぶしゃべりまくってる歌が多すぎる」とのお言葉です。
ついつい不安になるから、あれもこれもと言葉を重ねて安心してしまいます。そうではなく、「何を伝えたいのか」を自分の中で掘り下げていく大切さ。仏教の話になりますが、ある和上さんが、お説教の時、ただ「南无阿弥陀仏」「南无阿弥陀仏」だけをお話になり、非常に有り難かったというお話しを伺いました。和上さんの言葉から「南无阿弥陀仏」の仏様が出てきて下さった。それは、仏教の解説書に書いてある言葉ではなく、人生を歩んでいく中で「仏様と二人連れ」「仏様のみ光に照らされた」という安心の中から出てきて下さったお言葉なのです。
苦難な人生の歩みの中から、自然と生まれてくるのが『粹』(いき)な世界なのだ、どんな人生を歩むかが問われているよという永六輔さんからのメッセージを教えて頂きました。
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