天真寺通信
【銀座SALON】クローズアップDHARMA~お坊さんになった人気作家~
先日、築地本願寺サテライトテンプル・銀座SALONにて「クローズアップDHARMA~お坊さんになった人気作家~」が無事開講されました。第一部は、向谷匡史先生によるぶっちゃけトーク。第二部は、築地本願寺主幹網代先生との対談です。今回は、40名近くの方が参加され大盛況となりました。
いつか向谷匡史先生の講演会を開催したいと思っていたので、やっと開催できた喜びでいっぱいです。向谷先生は、田中角栄から極道、そして仏教まで約100冊の著作を持つ人気作家です。55才の時、僧侶を志して浄土真宗のお坊さんになられました。対談の中にて、極道の世界から占いやお寺のあり方についてまで、多岐にわたる話題に展開していきました。対談の中から、一つ極道のお話を紹介します。
極道の世界を取材して見えてきたこと。
極道の世界は煩悩の世界のかたまりである。金がほしい、いい車がほしい、出世がしたい、肩で風を切って歩きたい。それは、私達も持っている煩悩の坩堝である世界であり、その世界を知ることは、翻って私自身を知ることにつながる。
極道の世界では、任侠道の世界にたち、悪いことをやってもいるが、任侠道の中において自分を肯定している。それは、サラリーマンが仕事にがんばるというのは、会社というバックボーンがあり、自分の生存価値を意義づけしているようなもの。極道の世界では、悪道と言われることをしているが任侠道のバックボーンがある。酒飲んで、寝て、起きて、出世を考えているのは変わらない。暴力を使うか、違う方法を使うかのやり方は違うが、本質は同じじゃないか。
中堅のヤクザは、将来考えると辛いから考えないといいます。極道の世界を離れる恐怖は、今まで肩で風きってあるいていた自分が一市民になること。有名新聞社からフリーライターになるようなもの。今までと周りの対応の変化を受け入れていくことが大変だといいます。
と仰られます。保護司もしている向谷先生。以前伺った話ですが、殺人罪を犯して刑務所に入っている犯罪者がいます。彼らは、相手(被害者)が悪い、任侠道の世界にて自分が行ったことを認識して肯定しているといいます。自分の罪悪をみつめるまでには時間がかかります。
私が生きているものさしは何だろうかと考えさせられました。損得なのだろうか。そうではなく仏道というバックボーンがあるからこそ、物事の見方を転じられていく世界があったのだなぁと気付かされました。今回の打ち合わせから、仏法にであうと、人生の物の見え方は変わると仰られます。この苦難の世を生きる、何をものさしと生きている、仏道という世界にであえたことが、改めて有り難いご縁だなぁと思いました。なによりも、今までのお寺のあり方、法話のあり方の問題点も指摘をして頂き、さらに精進せねばと刺激を頂戴しました。
この度は、向谷先生、網代先生、貴重なお話を有り難うございました。
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