天真寺通信
『般若心経』現代意訳(松原泰道師)
最近は、30年以上前、録音したテープ音声をパソコンデータに変換作業の毎日です。花山先生の般若心経の講義音声など、楽しくお聞かせ手頂いていると、なかなか作業が進みませんが・・・
その中に、松原泰道先生の般若心経意訳の資料が出てきました。
観音菩薩は、この世にあるものすべてが、どうしてそのように存在するのか、その存在の原理を見極めようと、深遠な観察の修行を積み、ついにその修行を究めた。そして、一切の存在はすべて「空」であるとの真理をさとって、苦しみの原因を解決することができた。
観音菩薩は、舎利子に向かい、この空について説法される。舎利子よ、あなたやわたしの目に見える身体(色)と目に見えない心、それと存在の原理の空とは、けっして異質ではないのだ。なぜなら、空の原理に基づいて身体や心があるのだから、空と色と心とは、異質であるわけがない。さらに言おう。目に見える色そのままが、実は目に見えない空の真理の相(姿ではない)に外ならないのだ。空の真理とは、まず、すべてはつねに移り変わり、永遠な存在は一つもなく、すべて「無常の存在」である真実。次に、すべての存在は、そのものだけで他と孤立して存在できない、みな他とかかわりあって、はじめて存在が可能な「無我の存在」である真実。この二つの真実を総括するのが、空の真理に外ならない。この真理は、身体だけではない。心に関する現象すべてに通じている真理である。一切の物ごとや現象を生ずる空の真理は、永遠で、不肖不滅で、相対的な認識を超えるから、この真理を拒むものはない。このように、空の真理をさとることができる。さとりは、深遠な観察の智慧によって得られるから、そこに執われるものは何もない。執われないから恐怖もない。空の真理を知り、一切の誤った認識を除いて、心身の安らぎを得よう。このことは私に限らない。いつの世でも、誰でも空の真理をさとって安らぎを得られるのだ。故に、深遠な観察の智慧は、生きた真実の理である。
渡ろうよ 渡ろうよ 心と心をつないで 迷いの河を渡ろうよ かの岸こそ 永遠のさとりである
渡ろうよ 渡ろうよ 心と心をつないで 執われのない迷いの河を渡って かの岸に行こうよ
行くことができるのだから 行こうよ
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