天真寺通信

京都たより

聲明の夕べ

1月31日(土)京都ご本山に近い正光寺さんで「第11回聲明(しょうみょう)の夕べ」が開かれました。
今年のお勤めは『聲明例時』です。
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『聲明例時』は、慈覚大師円仁請来の『引声阿弥陀経』を原曲とする音曲で、保元2年(1157)に後白河天皇が宮中の仁寿殿に於いて「宮中御懺法講」として行われたのがはじまりと言われています。この「宮中御懺法講」は『聲明懺法』や『聲明例時』などで構成され、江戸時代末期までは京都の御所で聖忌(天皇の忌日法要)や御忌(皇后の忌日法要)に勤められていましたが、現在は大原魚山にある三千院で毎年五月の末に勤められています。
蹲踞礼の様子。
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行道の様子。
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本願寺への伝承は不詳との事ですが、一般寺院から手垢のついた『聲明例時』の声明本が出てきたそうです。
次第にある「衆罪伽陀」は、明治の初めまで本願寺で唱えられており、「大懺悔」は現在の本願寺派の「讃仏偈律曲」や「重誓偈律曲」の原曲だそうです。「五念門」は「十二礼旧節」と呼ばれ、最近まで本願寺で唱えられていて、現在は富山県や滋賀県の一部で唱えられているようです。また、『聲明例時』の極略切り声が、明治時代の聲明三冊本にある『例時作法』で、これが昭和の御改譜で現在の『阿弥陀経作法』となりました。
このように、『聲明例時』は平安時代から脈々と受け継がれ、本願寺と大変ご縁の深い聲明曲です。
(「聲明の夕べ」しおり文面を参考)
(果)

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