天真寺通信
なぜ西方浄土なのか?
毎週日曜日朝7時~「日曜礼拝」が勤まります。本日の担当は龍哉。和讃は曇鸞讃。御文章は吉崎建立章です。
本日の法話のテーマは「慈悲」。
先日の築地本願寺サテライトテンプル銀座SALONにて開催された『クローズアップ仏法-キリスト教から仏教へ-』では、ドイツ出身、松戸市在住のアーミンさんにこれまでの宗教遍歴を語って頂きました。今朝の日曜礼拝にも、アーミンさんがご参拝下さいましたので、キリスト教の「愛」、仏教の「慈悲」について考えました。
本日のご和讃に
世俗の君子幸臨し
勅して浄土のゆゑをとふ
十方仏国浄土なり
なにによりてか西にある
鸞師こたへてのたまはく
わが身は智慧あさくして
いまだ地位にいらざれば
念力ひとしくおよばれず
とあります。
皇帝(東魏の孝静帝)は、仏教に見識があり、曇鸞大師を訪問され、浄土についての質問に答えるように命じられました。その問いは「十方世界の仏国土はすべて清浄な国土であるが、なぜ、西方浄土と限定するのか。」
その質問に対する曇鸞大師のお答え。私には、仏になるべき智慧もなく、いまだ菩薩の位(歓喜地)にのぼっていないので、自らの力によって仏の国々を念じる(観想する)ことができないのです。 阿弥陀さまは、真実を見る眼がない凡夫の私のために「西方浄土」をお示し下さいました。それは、ああしなさい、こうなりなさいと、理想的人格を要求をするのではなく、こちらに真実がないのであるならば、阿弥陀さまがご苦労をなされ、阿弥陀さまが選択された名号を称えて我が国に生まれんと欲えと誓われました。それは、私たち人間が選択した私の行(行為)ではなく、あらゆる生きとし生ける者を、我が国に生まれさせると立ち上がられたが阿弥陀さまの願いです。そしてそれは、太陽が沈み往く西の彼方に、阿弥陀さまの覚りの世界・浄土があるのですよ。阿弥陀如来は、悲しみの中命終えていくものを必ず浄土へ迎え取る、南无阿弥陀仏とお念仏をを称える者は、やがてこの命終わった時、浄土往生させるぞ。まさしく、「西方」とお示し下さったことに仏さまのお慈悲が込められているのです。
そこに、慈悲の宗教の神髄が込められており、「極悪最下の人の ために極善最上の法を説く」という浄土教のお心をお聞かせ頂きます。
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