天真寺通信
「お正信偈に聞く」第十八回
「お正信偈に聞く」第十八回、1月28日の記事です。
今回は浄土真宗七高僧の第六祖の源信和尚でした。
源信広開一代教 偏帰安養勧一切 専雑執心判浅深 報化二土正弁立
極重悪人唯称仏 我亦在彼摂取中 煩悩障眼雖不見 大悲無倦常照我
源信広く一代の教を開きて、ひとえに安養に帰して一切をすすむ。
専雑の執心に浅・深を判じ、報化二土正しく弁立したまう。
「極重の悪人はただ仏を称すべし、我もまた彼の摂取の中にあれども、
煩悩、眼を障えて見たてまつらずといえども、
大悲ものうきこと無くして常に我を照らしたまう」と言えり。
源信和尚は、大和の国当麻(たいま)にお生まれになりました。幼くして比叡山に上られ学問と修行に励まれた和尚は、十五歳で宮中にて経典を講じるほど学識にすぐれ、その講義は高い評価を得られました。
和尚は宮中での講義の際に恩賞として頂戴した品を大和の母に送られますが、手紙とともにその品を送り返されたと伝わっています。 母の手紙には、「後の世を渡す橋とぞ思ひしに 世渡る僧となるぞ悲しき まことの求道者となり給へ」と、
「名声や財産を求めさせるためにあなたを比叡山に送ったわけじゃない。それよりも、すべての人々が救われるさとりの道を求めてください」と書かれていました。 その事から和尚は山籠もりを始め、名利を離れたまことの求道者となる事を誓われたという事です。
源信和尚は天台宗の学僧でしたが、天台の学問に限らず仏教全般を広く深く究められました。その中でも和尚はひとえに浄土の教えに帰依されて、往生極楽に関する要文を集めた『往生要集』を著されて、世のすべての人々に浄土を願うべきであることを説き、その実践法として念仏を勧められました。
『往生要集』は、日本における最初の本格的な浄土教の教義書となり、当時の思想、文学や芸術面など広範囲にわたって大きな影響を与える事になりました。
源信和尚は、自分を外においてお念仏を人々に勧められたのではありません。
和尚は『往生要集』の序文に「予がごとき頑魯のもの」と、ご自身をかたくなで愚かな者と内省されています。若くして仏教経典を究められた和尚ですが、学べば学ぶほど仏様とは程遠い自分の本当のすがたを知らされる事になったのかもしれません。源信和尚は自らを極重悪人の立場におき、浄土を願いお念仏を仰がれたのでしょう。
先日「恵心僧都一千年御遠忌報恩天台宗比叡山延暦寺法要」ならびに「源信和尚千回忌 浄土真宗本願寺派龍谷山本願寺法要」が、天台宗比叡山延暦寺と合同で本願寺において修行されました。
本願寺で天台宗の座主様がお導師をお勤めになる、という前代未聞の世紀の大法要ともいえます(゜o゜)。
天台の方々と宗派を超えて一緒にお念仏を称え、回向句「願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国」共にお浄土に往生いたしましょう、と、お勤めできた事が何よりも有難かったです(*^_^*)
(果)
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