天真寺通信
御伝鈔第七段「信心諍論」
今朝の日曜礼拝の担当は住職です。源空上人を讃える和讃です。ご法話の中で、「御伝鈔」第七段「信心諍論」を拝読しましたので、上記写真はその七段の絵の部分です、ご紹介いたします。
[原文]
第七段 上人[親鸞]のたまはく、いにしへわが大師聖人[源空]の御前に、正信房・勢観房・念仏房以下のひとびとおほかりしとき、はかりなき諍論をしはんべることありき。そのゆゑは、「聖人の御信心と善信(親鸞)が信心と、いささかもかはるところあるべからず、ただひとつなり」と申したりしに、このひとびととがめていはく、「善信房の、聖人の御信心とわが信心とひとしと申さるることいはれなし、いかでかひとしかるべき」と。 善信申していはく、「などかひとしと申さざるべきや。そのゆゑは深智博覧にひとしからんとも申さばこそ、まことにおほけなくもあらめ、往生の信心にいたりては、ひとたび他力信心のことわりをうけたまはりしよりこのかた、まつたくわたくしなし。しかれば聖人の御信心も他力よりたまはらせたまふ、善信が信心も他力なり。かるがゆゑにひとしくしてかはるところなしと申すなり」と申しはんべりしところに、大師聖人まさしく仰せられてのたまはく、「信心のかはると申すは、自力の信にとりてのことなり。すなはち智慧各別なるゆゑに信また各別なり。他力の信心は、善悪の凡夫ともに仏のかたよりたまはる信心なれば、源空が信心も善信房の信心も、さらにかはるべからず、ただひとつなり。わがかしこくて信ずるにあらず、信心のかはりあうておはしまさんひとびとは、わがまゐらん浄土へはよもまゐりたまはじ。よくよくこころえらるべきことなり」と云々。ここに面面舌をまき、口を閉ぢてやみにけり。
こちらは親鸞聖人34才、法然の他のご門弟と議論をされました。
34才の親鸞聖人が、
「親鸞(善信)の信心も法然聖人の信心も一つなり」
とおしゃった。
すると、周りのお弟子から「何を言っている。智慧・才覚の優れた法然上人の信心とあなた(親鸞聖人)の信心が同じはずがない。どうして、あなたの信心と同じであるか。なんと恐れ多いことをいうものだ」と返答され、そうだそうだと周りの門弟たちも加勢して、議論になっていました。
そこに、法然上人がいらっしゃりご採決を頂いた。
74才の法然上人のお言葉。
源空が信心も、如来よりたまはりたる信心なり、
善信房の信心も、如来よりたまはらせたまひたる信心なり
往生の信心においては、まったく異なること無し、ただ一つなり
信心が変わるというのは自力の信心であります。人によって器量が違うから、おきてくる信心も違う。他力の信心は弥陀如来から頂くのであるから、みな一つである。私と信心がちがうものは、同じ浄土に生まれることができません。と、おっしゃられました。
この出来事は、『歎異抄』「後序」にも紹介されているので、親鸞聖人の心に残っている出来事なのであります。信心は、如来より賜る信心であることをお伝えするエピソードであります。
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