天真寺通信
子どもと仏教
本日本堂に入ると、「聞きたいことがあるのですが?」と女性が声をかけていらっしゃった。お話しをお伺いしていると、ご法事のご相談でした。その間、子どもさんが、「階段に行こう」と声をかけてくるので、子どもさんの気持ちをが紛らわそうと、電気掃除機ルーロくんなどなど紹介したが、「階段に行こう」と声をかけてきました。そんな時には、以前、天真にてお話しをお伺いしたテレフォン人生相談相談員の加藤泰三先生のお話を思い出します。意図するところは、子どもは階段に行きたいのではなく、かまってほしい気持ちから生まれている言葉だと言うことです。最後には、おかあさんと階段に行って頂きましたが、今朝の朝日新聞の折々の日々の言葉を思い出しました。子どもさんがお寺の雰囲気が好きみたいですねと言う言葉がホッコリする瞬間でした。
先日天真寺を会場として講座が開かれ、講師にニッポン放送系ラジオ番組「テレフォン人生相談」で相談員をつとめる加藤諦三先生がお越しになりました。私も様々な宗派のお坊さんと運営する仏教情報センターで相談員をしているため、普段から阿弥陀さまのお心を頂きながら相談を聞くことが大事だなぁと感じていましたが、改めて教えて頂くことがありました。
こんなお話です。問題行動を起こす子どものお母さんが子どもの悩みを先生に相談をしていると、その場にいた子どもが突然「空から砂糖降ってきた!」と騒ぎ出しました。ここで、母親と先生の対応は全く違いました。先生はパッと立ち上がり「バケツはどこにある?」と声をかけ、屋上に子どもと一緒に上って行きました。先生が戻って来ると、母親は「先生、屋上で何をしていたのですか?」と尋ね、子どもには「あなたはまた嘘をついた!」と責めました。空から降ってきたものは、雪。砂糖が降ってくるわけはありませんが、そう言った子どもの気持ちを察してあげてたのが、先生の行動です。なぜ砂糖などと騒いだかといえば、お母さんと先生が話し込んでいて自分一人でさみしかったから。自分に注目してくれという子どもの思いが込めれた言葉だったのです。嘘といえば嘘ですが、「嘘つき」という一言で一刀両断にして子どもを見ていたら、その心は分かりません。一方先生は、表面的な言葉ではなく、子どもの思いをくみ取ったのです。その人の心をくみ取ることが人間関係では大切であるというお話でした。
私たちが大事にしている『仏説無量寿経』には、阿弥陀さまのご用意だけが示されます。法蔵菩薩が苦悩を抱える衆生をご覧になり、願いをおこし行じて廻向してお救いが仕上がりました。その仕上ががったすがたが、南無阿弥陀仏のお念仏です。そして、救われていくお浄土の世界はこういう世界です。お浄土に往ったらこういうご利益がありますよと説かれます。どこにも煩悩具足である私たちの罪が示されないのです。なぜ罪を示さないのかと伺えば、罪に悲歎苦悩している者に「あなたは罪深い者ですよ」と告げても何の救いにもならないからです。苦しむ私たちがさらに苦しむだけだと見越された上でのお救いなのです。
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