天真寺通信
六道さん
先日、松戸市に古くから住んでいる門徒さんと話をしていると、葬儀のお話になりました。
昔のお葬儀・納骨は大変だったんですよ。
どうしてですか?
今でこそ、お葬儀は葬儀ホールにて、葬儀社のスタッフを中心に葬儀を執り行うが、昔は地域の方々が一致団結して、自宅に葬儀を行っていました。お迎えする人数も多いので、お出しする料理の量も多くなり、お芋さん一箱の皮をむいた記憶もあります。そんな中、「六道さん」という役割がありました。「六道さん」の役割の一つは、お葬儀が終わり、墓地に納骨をする時、墓地と納骨場所の掃除をします。新しくできた墓地ならいいが、古くからある墓地の場合、納骨場所には水があふれていて、骨壺にも水が入っています。その水を全部取り除いて、納骨の日に備えます。その苦労を思うと・・・
六道とは、仏教では、「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上」と「迷いの世界」を表します。お釈迦様がご誕生されてすぐ、七歩歩いたというのは、六道(迷いの世界)を超えたことを表します。京都には、「六道珍皇寺」という寺院があります。そこには、六道の辻という場所があります。
HPによると、この六道の分岐点で、この世とあの世の境(接点)の辻が、古来より当寺の境内あたりで、冥界への入口といわれてきた。なぜか、「六道珍皇寺」が平安京の東の墓所であった鳥辺野に至る道筋にあたり、この地で「野辺の送り」をされたことより、ここがいわば「人の世の無常とはかなさを感じる場所」であったこと、そして小野篁が夜毎冥府通いのため、当寺の本堂裏庭にある井戸をその入口に使っていたことによるものであろう。この「六道の辻」の名称は、古くは「古事談」にもみえることよりこの地が中世以来より「冥土への通路」として世に知られていたことがうかがえる。
つまり、「六道さん」とは、亡き方が生まれていかれた世界との接点を表しています。なくなられた方のお骨を納骨をするというのは、この世とあの世の接点と考えられていたのでありましょう。
そういうお話を聞かせていただくと、昔から続いてきた「習俗」は、真宗的には批判されることが多いが、地域の方々が作り出してきた思いから生まれてきたものなので、その思いを大切にすることは大事だなぁと思いました。なぜならば、時代が変われば、習俗がなくなるとは簡単だからです。
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